映画『ファースト・マン』 ゴズリングのI will be back物語
デイミアン・チャゼル監督、アポロ11号のアームストロング船長を演じるのはライアン・ゴズリング。映画『ファースト・マン』を見たので紹介したいのです。
ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』でタッグを組んでいた二人が、宇宙を目指す。ミュージカルというジャンルはある意味SFよりもフィクション性がある。一方で、今回の『ファースト・マン』は史実に基づいたストーリーであり、「宇宙」という題材が多くの場合フィクションとして取り上げられることが多い中、地上で歌って踊るタッグを組んでいた二人が宇宙で現実を直視することは、少し面白い。
『ファースト・マン』を調べていたら関連で、 『ラ・ラ・ランド』の批評なども出てきたのでここに紹介したい。『ラ・ラ・ランド』、私は好きな映画なのだが、評価は様々だったことが伺える。ただ、『ラ・ラ・ランド』の中の世界がミュージカルというスタイルと相まって時代・舞台設定などを取っても非常に現実感を浮遊させるような作りになっていたことが分かって興味深かった。
二つ目のレビューなどは、記事のURL(https://wired.jp/2017/03/06/why-we-hate-this-movie/)を見ていただければ、wiredの皆さんの評価が分かる笑
個人的満足度:65/100点
あらすじ
戻らぁ!
おすすめポイント
①偉業ってだけで終わらしていいの?
月に行ったアームストロング船長、学校の授業をよく聞いていなかった右の玉でさえ知っている人物、そして歴史的偉業。とにかく「すごい」って思っていた。当たり前ではあるが、なかなか考えもしなかったのはアームストロング船長やNASAで働く人々全員のそれぞれの思いや、彼らの家族の思い、当時米国に生きていた人々の思い。
月へ第一歩を刻んだ偉業が薄れることは無い。でもそこだけ見ていて良いのだろうか、と考えさせられる映画でした。ありがとうございました。
続きはネタバレ有りかも感想&レビュー
続きを読む映画『OUT』 え、その結末はアウト
平山秀幸監督の映画『アウト』を見たので覚え書き。原作は同名の小説。
個人的満足度:49/100点
あらすじ
勢いで殺っちゃいました☆
見所ポイント
①役者全員
主演の原田美枝子、愉快な仲間たちの倍賞美津子、室井滋、香川照之、役者陣が豪華。さすがの演技です。間寛平も出演、ヤクザ(?)的な親分役でこの映画の雰囲気にしかり合わせて演じているのかな、と個人的には思いました。
②小説との違い
正直映画のラストは納得いかない。ただ、面白みを探すのであれば小説との違いを楽しむのが良いかなと。映画から入る方も、小説をすでに読んだ方も両者の違いは割と大きいので変わった部分を見ていくのは面白いかも。
続きはネタバレありかも
続きを読む映画『彼女がその名を知らない鳥たち』 サダヲのI will be back物語
沼田まほかる原作の同名小説の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』を紹介したいのです。まほかるって名前面白い響きですね。
監督は『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌。十和子役は蒼井優、その夫の陣治役は阿部サダヲ。
個人的満足度:65/100点
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あらすじ
十和子「黒崎さんどこ?」
見所ポイント
陣治が怖い
私の中ではコミカルな演技が多いかなと思っていた阿部サダヲさん。この映画でミステリーど真ん中を怪演するサダヲ氏が見られます。
十和子も怖い
共感度ゼロの最低な女こと十和子。映画視聴中も「えぇ・・・」ってずっとドン引き。共感できねぇ・・・って思うこと間違いなし。
黒崎さんも怖し
普通に役どころが怖い。
続きはネタバレ有りかもな感想&レビュー
続きを読む映画『セトウツミ』 〜じんわりあったかい日常を〜
池松壮亮と菅田将暉のダブル主演、2016年に制作された大森立嗣監督の映画。原作は同名の漫画。
今だからこそ「日常」を感じたい方にオススメしたい。
個人的満足度:60/100点
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あらすじ
セト「このポテト長ない?」
河原で喋る高校生二人の物語。
見所ポイント
- 高校生の日常
- 汗をかかない青春
1、高校生の日常
中高生が休み時間、放課後に喋っているような日常感。でもその日常感の中に強すぎないオチが着く。
ハマる人、ハマらない人で極端に評価が別れそうな映画ですが、私は好きな映画でした。
2、汗をかかない青春
映画の途中で、「高校生」の生き方に池松壮亮が演じるウツミが疑問を呈します。高校生は誰もが熱い青春を送らなければならないのか? と。
部活動を頑張って何かクリエイティブなことをしなければいけないのか? と。
続きはネタバレあるかも感想&レビュー
続きを読む映画『人生、ブラボー!』 〜○○ニーマタドール見参〜
カナダの映画でした。フランス語とちょい英語混じりみたいな感じだからケベックなのかしら。
あらすじ
弁護士「ウォズニアックさんあなた、553人の子供いますよ」
主人公「え、チガウヨ、私ウォズニアックチガウ、メキシコカラキタヨ」
コメディライクなほのぼのストーリー
借金取りからバスタブの中で水責めされ、借金を返すために大麻を育てようとしたりする主人公。恋人との間に子供ができたが、直前の時期に子供ができた兄は「子供なんか作るもんじゃない」と言っているし。
人は良いんだけど、責任感が無く、何だか適当に人生を送っているような主人公のダヴィッド。
恋人はいつまでたっても両親と合わせてくれないダヴィッドにイライラ。
私は、ほのぼのとしたこの映画好きでした。オススメ度:星5個中4つ!
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〜続きはタネバレありです〜
続きを読む映画『365日のシンプルライフ』 全部しまっちゃうおじさん
どうも、物欲にまみれた右の玉です。
映画『365日のシンプルライフ』を観たのです。フィンランドのドキュメンタリー映画。
糸井重里さんの「ほしいものが、ほしいわ」というコピーを思い出させるようなこの映画、オススメです。
本当に必要なモノって何だろう。欲しいモノ、必要なモノ、みんな違ってみんな良い。
個人的満足度:60/100点
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あらすじ
一旦ゼロにしたろ
恋人にふられたことをきっかけに、自分の部屋のモノの多さに疑問を持つペトリ。「そうだ全部無くしてみよう」ということで、部屋中の物を預け、一日に一個だけモノを取ってこれるというルールのもと、1年間生活をする。
監督、脚本、主演全てペトリ・ルーッカイネン。出演する方もみなペトリ氏の友人など赤裸々なドキュメンタリースタイル。
〜続きはちょっとネタバレかも〜
続きを読む小説『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』 〜6年ぶり通算5度目読了。面白いよ〜
だいたいのことは3日で忘れる右の玉ですこんにちは。
だからこそ、面白い本は何度でも新鮮な気持ちで読み返せるというお得な記憶力。ありがとうございます。
通算5回目の読み直しをし始めた『ミレニアム』シリーズ。とりあえず第一部が読み終わったので書き留めてみたい、そんな気持ち。
全世界で6300万部以上売れているこの本、私が持っている版の帯を見ると日本でも160万部以上は売れたみたいです。
いや、もう五度目ですからね、流石にストーリーなんとなく覚えてますよ(五度目で「なんとなく」ってどうなの?という疑問は置いといてください。)
だから比較的冷静に、「あーそうそうこんな始まりだったなー」くらいのテンションで読んでいましたが、下巻に入ってからはフガフガ言いながら夜更かししつつ読んでしまいました。おかげで次の日の仕事中の記憶がありません。本当にありがとうございました。
もうすでに読んでいる人もたくさんいるかとは思いますが、まだまだ読んでいない人もいるでしょう。いつ読むの!今なの?
んーオススメしたい。神様、オラにみんなに伝える文章力をください。
あらすじ
大富豪「ちょっとウチの家族史書いてくれない?」
主人公「え、いやです」
主人公はミカエルは経済ジャーナリスト。月刊紙の発行責任者を努め自らも記事を書く。そんな彼が裁判に負けるところから物語は始まるのです。
ああ、、なんで今までなぜミレニアムシリーズをオススメする記事を書かなかったのだろうか?
はい、この面白さをどうやって伝えればええねんってなったからです。ワイの文章力でどうやって伝えたらええんや! 読んでくれえや! 読まなわからんですやん! って思ってたからです。*1
でも伝えたい。この面白さ。がんばれ私。とにかく書いてみよう。
ミステリー小説かつメッセージ盛り盛り山小説
ミステリーとしても非常に面白いし、やはり謎解きと言いますか、この第一部を読んでいく醍醐味はどういった「謎」が隠れているんだ? と予測しながら読んでいくことだと思います。
一方で、作者のスティーグ自身が経済ジャーナリストだったということもあって、主人公のミカエルは作者の考えも反映しているような人物に見えます。
主人公のミカエルは、スウェーデンの株式市場が大暴落した際に、株式市場はこの国の”経済”そのものじゃないですよ、経済の実態は実際に物を作り日々働いている人たちが作り出すものです、という意味の発言。
個人的には確かになーと思いながら読んだり。
章と章の間ではストーリーとは別に、
スウェーデンでは女性の四十六パーセントが男性に暴力をふるわれた経験を持つ。
(上巻 p.198)
スウェーデンでは女性の一三パーセントが、性的パートナー以外の人物の人物から深刻な性的暴行を受けた経験を有する。
(下巻 p.18)
といった一文が所々の章の間に書かれています。
スティーグ・ラーソンが女性の権利や社会の現状に関心を抱き問題提起しようとしていたかが伝わってきます。
訳者の後書きを読むと、第一部は邦訳では『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』ですが、原題は『女を憎む男たち』という意味のタイトルが付けられているとわかります。
タイトルや諸所に書かれたスウェーデンでの女性に関する情報は、作者スティーグの伝えたいスウェーデン社会の現状が抱える問題も表しているのではないでしょうか。
それは主人公ミカエルと第二の主人公のリスベットに持たせたキャラクターからも作者の思いは伝わってきます。
男性のミカエルと女性のリスベットは、ステレオタイプな「男性的な主人公」が持つ特性と「魅力的なヒロイン」が持つ特性を意図的に逆転させられているのです。
三部作を通じて作者のスティーグ・ラーソンがこの小説に込めた思い、スウェーデン社会への疑問提起、経済界への痛烈な皮肉。
何よりも作者自身が楽しんで書いていたという事実、この気持ちが読者にも伝わってくるからこの小説は面白いのかもしれない。
作者のスティーグは書き始めたら楽しくなってしまって第二部まで書き終わって、第三部を書き始めた途中で出版社と連絡を取ったそうです。
そんなことあります? 私だったらすぐに作品発表したくなってしまうけど、彼はそれだけ彼自身がストーリーの中にのめり込んでいたのでしょう。
三部まで書き終わって、残念ながら第一部が世に出版される前にスティーグ・ラーソンは心筋梗塞のために2004年に亡くなりました。
構想としては第十部まであったそうですが今となってはどんなストーリーが展開されていたのかはわかりません。
三部までで物語は一度大きな収束を迎えているので、一部が面白いと感じたら二部、三部と読み進めることをオススメします。
物語の終盤、小説にはこんな一説があります。
全編を貫く怒りは、あらゆる読者に力強く伝わるに違いなかった。
(下巻 p.445)
「怒り」とはまた別の思いかもしれませんが、このミレニアムシリーズ三部作からは全編を通して作者が楽しんで書いたことが伝わってくるような熱さを感じます。
沸沸と。冷静な怒りと熱い楽しさと。
ぜひ読んで欲しい一冊。『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』、もし読んでみて面白かったらそのまま第二部、第三部も楽しんでください!
*1:右の玉は神奈川育ちです